ヴォイトレQ&A(同問異答)

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Vol.121 Q.歌っているときに、ことばが聞こえにくくなります。どうしたら直りますか。速いテンポに、口がまわらなかったり、言い間違ったりします。

A.まず、声が前に出ていないと、ことばはわかりにくくなります。深い声、充実した声、立派な声、大きな声を目指していると、その成果に気を取られて、いつの間にか、深く大きな立派な声なのに、ことばはよくわからないということが起こります。

オペラなどでは、ことばがハッキリ聞こえること以上に、声の美しさや音色、声のヴォリューム感の方が、はるかに優先されるので、絶対に必要とは言えません。ただ、オペラブッファ(喜歌劇)や歌曲など、ことばを重視する分野もあるので、ことばもよく聞こえることは、できるのにこしたことはありません。

間違えてはいけないのは、大きな声が出ていれば、ことばは聞こえるという勘違いです。大切なのは、しっかり声を前に出すことです。しっかりと声が前に出るようになったら、今度は、なるべく力を抜いて、声を前に出せるようにしていきましょう。これで、ことばも、前に出やすくなるはずです。

速いテンポに、口がまわらなかったり、言い間違ったりするのは、喉周辺・口周辺が、リラックスできていない場合に、多く起こります。先ほどの練習を、さらに推し進めていけば、速いテンポでも、口がまわりやすくなり、言い間違えも、少なくなります。ただし、練習不足による言い間違えには、効果はありません。(♭Ξ)

 

A.舌と唇などの動きをよりトレーニングしてコントロールすることが必要です。

ことばが聞こえないと指摘されたときに、顎がたくさん動くような口の開け方をしてしまうと、今度はことばではなく声のコントロールを失いやすくなります。

舌と唇を顎に関係なく動かして発音・歌唱ができるところまで訓練しましょう。この訓練で重要なのは支えです。お腹の支えだったり、喉の位置が高いポジションにあったり、浮きやすいと、とたんに声が薄くなります。

声が浮いてしまったり、声が薄くなると発音も不鮮明になることが多いので注意しましょう。

基本的にはたくさん動かしてはっきり発音するというよりも、お腹から喉までを一つの空間で、つながっているような感覚で、体をつかってしっかりと発声する、それを唇や舌の動きで輪郭のあることばにしていくというイメージでしょうか。舌や唇、顎は力んでほしくはないのですが、悪い意味で力がぬけていると声の輪郭が不鮮明になり結果的に発音もクリアではなくなります。

早いテンポでも同様です。早いテンポのものは口の中や喉が忙しくなりますが、基本的にはいかに音の輪郭が鮮明になるかということです。そういう意味ではゆっくりでも早くても体を使っていなければ処理できません。

声帯が開きやすい人は息がもれやすいことも考慮しましょう。柔らかく歌っているつもりが実は息が漏れているだけという人も少なくありません。息がもれないように声を当てる場所を変えてみたり、支えを研究する必要があります。(♭Σ)

 

A.速いテンポに口がまわらない、言い間違えるといったことを改善するのに、歌いながら何とかしようとするのは至難の業です。つまり速いテンポで、音程を取りながら、という中では改善するのに遠回りだということです。

いったんテンポを遅めにし、音程を省いた中で、その曲のリズムに合わせて歌詞の発音を練習するという方法をとりましょう。これをリズム読みと言います。あなたはその曲の音程やリズム、(何語であれ)歌詞の発音はもうわかっているはずです。しかし、リズムに発音を合わせることは間に合っていない、という状態なのです。ですので、その部分だけにフォーカスして発音を口に馴染ませる、(発音の)反応が遅くなる箇所を整えるというわけです。

これは音程を省いた練習なので、口がまわらない部分がたとえ高音域だったとしても、喉への負担もなく、しかも何回も繰り返して発音練習ができます。そして言い間違えがなくなり、スムーズに発音できるようになった後で、改めて音程をつけて歌ってみると、リズム読みの練習をする前と後での違いが感じられます。(♯α)

 

A.実際の状況を見てみなければわからないことですが、歌っているときに呂律が回りにくいということであれば、考えられるのは、「口が十分に開いていないこと」、「ことばを一語一句口を動かして発音しすぎていること」などがあげられると思います。

まずは歌う前に、落ち着いたテンポで苦手な部分の「歌詞を読む」ということだけをやってみましょう。音やリズムをつけずに、「読む」ということに集中してみてください。そして徐々にテンポを上げていき、最終的には音はつけずに実際の速度でリズムだけつけて読む練習をしてみるというのをやってみましょう。その際、口の中の空間が極端に狭くなっていたり、ことばを一語一句動かし過ぎている場合、この「読み」の時点で呂律が回りにくくなると思います。もし、この時点で読みにくい場合、口形を極端に変えすぎないでゆっくり丁寧に歌詞を喋ることに慣れてみましょう。

歌詞の言い間違えの部分は、暗譜でスラスラ歌詞を喋れるところまでできているでしょうか。もし、それができているのに、歌うときに言い間違ってしまうということであれば、歌っている最中は意図しないところで別なことに意識が向きすぎてしまっているのかもしれません。それを克服する意味でも、冷静に歌詞を暗唱できるように練習してみてはいかがでしょうか。(♭Я)

 

A. 唇、表情筋、舌、顎は思うように動かせてますでしょうか。これらは明確な発音するのに必要な部分なのですが、日本語はこれらの部位をほとんど動かさずに話せてしまうため、動かしづらいという人がほとんどです。トレーニングで、ほぐし、動かしやすくしていく必要があります。

唇の周りを約1.5センチほどの幅の口輪筋という筋肉が取り囲んでいます。唇をすぼめたり引き伸ばしたり、ウオアイベー体操でよくほぐして動かしやすくしましょう。表情筋はまさに、顔の表情を司る筋肉です。目や眉を引き上げたり、小鼻を持ち上げたり、唇を持ち上げたりして、顔をよく動かせるようにしてください。

次に舌ですが、口を縦に大き目に開けたときに、前歯の裏と下の歯の裏に交互にくっつけて見てください。下顎が動かずに舌の力だけでできていますか。カ行では、舌の奥が上顎に当たる、タ行ナ行では舌の前が前歯の裏に当たるなど、調音点を意識して「かたな かたな かたな」「竹立てかけた」「昨日棚にたけのこ立て掛けたかったのだ」を練習して見ましょう。舌も筋肉で動いているのだな、強化していけるのだなと実感できることと思います。

最後に下顎です。ここが動きにくく発音に支障をきたしている人もいるようです。垂直に下顎を下げると関節を痛めかねないので、少しだけ前にスライドさせてから下げて見ましょう。顎の力で下がるというよりも、顎の周りの筋肉を伸ばしていくように、周りの筋肉と連携しながら下ろしてみてください。このとき、側頭部分も動いているように感じるかもしれません。発音一つ取っても、だいぶ広範囲にトレーニングする必要があるということです。(♯β)

 

A.速いテンポに、口がまわらなかったり、言い間違ったりするのは簡単に治ります。滑舌の練習をするのです。まずその歌のセリフだけを読む練習をしてください。大きな声で、ゆっくりはっきり→速くはっきり、練習します。大きな声で、というのを途中で忘れそうになりますが、ある程度大きな声で練習しないと滑舌の練習にならないようです。実際に歌で想定されるテンポよりずっと速く練習してください。

次に、今取り上げている歌と直接関係のない、ことばのトレーニング用の早口ことばを取り出して練習します。やはりゆっくりはっきり→速くはっきり、大きな声で練習します。これは、ただの滑舌のトレーニング集、早口ことば集をやるだけでもいいのですが、上級者は一歩踏み込んで、感情のあるセリフやナレーションや詩の朗読を感情の表現法も含めて練習してみましょう。滑舌だけを切り取らず、歌以外のことばのトレーニング全般やってみるのです。そうすると歌の表現力もついてくるようです。

ことばが聞こえにくくなる理由は滑舌以外にも何個か考えられます。基本的な対処法は母音が不明瞭なことが多いので、曲を母音だけで練習してみてください。そのあとに、子音を外国語のようにはっきり発音する練習をします。(♭∴)

 

A. レッスンをしていて常々感じることですが、歌詞が全然読めていない人が多いです。歌詞の朗読をお願いすると、中には「歌えるけど読めない」という人もいますが、そういう人は残念ながら「自分では歌えている気がしている」だけです。本当に歌えているときは、歌詞の朗読もうまくできるはずです。つまり、読めることが歌えることへの早道なわけです。

速いテンポの曲はいきなり歌おうと思わず、まず初めに歌詞だけ取り出して朗読し、次にリズム読み(曲のリズムに乗せて、音程はつけずに読む)を行い、最後に歌ってみるといいです。回りくどいと感じるかもしれませんが、結局これが一番確実な方法です。

さらにテクニカルな話をすると、口を動かし過ぎないことが肝要です。舌や唇が必要最低限の動きで次の発音に移っていくように心がけるとスムーズです。こちらは一度大げさにゆっくりと、わざと無駄に口を動かして確かめてみましょう。その状態から削ぎ落としていくといいのです。(♯∂)